イベントレポート|サーキュラーデザインチャレンジ

2021年3月に開催された「サーキュラーデザインチャレンジ」に、レビュアーとして参加してきました。
このプログラムは循環経済産業都市を実現しようとしている、鹿児島県薩摩川内市と九州大学大学院芸術工学研究院とが共同で開催する、デザイン研究プログラムです。
サーキュラーデザイン=「資源の循環」を前提としたデザイン、を考えるこのチャレンジ。第一回となる今回は、廃ペットボトルが題材として取り上げられました。意識されたのは、”Creative repair” = 粗大ゴミを廃棄物で蘇らせるデザインと、”Design for disassembly” = 廃ペットボトルから生まれる分解・再構築可能な構造物のデザインの2つの視点。後者の”Design for disassembly”では、TrussFab(2017年ドイツ)というペットボトル建築が参考例としてとりあげられました。

現場視察での学びから試作、そしてアイディア発表で構成されたスケジュールは全4日。鹿児島県薩摩川内市でのリサーチと、九州大学大橋キャンパスでのディスカッション〜試作〜プレゼンテーションという2都市をまたぐプログラムです。

■九州大学大橋キャンパスの工房を使い、アイディアのプロトタイピングが進められている様子

■アイディア|家具

■アイディア|家具

■アイディア|ジョイント性能に注目した防災アイテム(ベッド)

■アイディア|アクアリウム

■アイディア|ライティング

この短期間の中で「アイディアを考える→ディスカッションする→つくってみる」が何度も、すばやく、繰り返され完成した多彩なデザインアイディアが発表されました。
もちろんその製作の中で、デジタルファブリケーションツールも活用されています。クイックなアイディアの具体化や、微細な設計変更のシーンで、そのポテンシャルが発揮されました。

先行事例をあまり見つけることができない、このプロジェクト。アイディアを思いついたら、とにかくつくってみる、皆で考えてみる、というアクションが、プロジェクトの発展のカギです。そうした場面において、デジタルファブリケーションツールやグローバルのファブラボネットワークが有効活用できそうです。
「消費社会」から「持続可能社会」へと世界が移行を迫られるなか、循環経済の可能性を探る国内初の大きなプロジェクトがスタートしました。

主催 九州大学大学院芸術工学研究院,鹿児島県薩摩川内市

関連プログラムの「サーキュラーデザインシンポジウム」もYoutubeで公開中。
Youtubeはこちら

サーキュラーデザインシンポジウム
鹿児島県薩摩川内市を舞台に、循環経済を実現する年のデザインを学び、思考し、実装していくためのオープンな議論の場です。薩摩川内市・九州大学大学院芸術工学研究院が共同開催し、株式会社リ・パブリックが企画・運営する、国内で初めての取り組みです。産業、学術、行政、市民、それぞれの視点から議論を交わし、立場を超えて、持続可能な都市や地域、ビジネスや暮らしの在り方を考えます。

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