レポート|自助具メイカソンのメンターとして参加@韓国

韓国の天安市にあるナザレ大学で開催された「自助具メイカソン」のメンターとして、ファブラボ品川の濱中さん・林さんと共にファブラボ神田錦町の井上が参加しました。ナザレ大学に設置されたメイカースペース「NADO」が本格稼働し、これまで進めてきた地域とのネットワーキングから、近隣国のファブラボやメイカースペースとの協働に発展させたい段階にあり、その第1弾として今回のお招きいただきました。25名ほどの在学生が5つのチームに分かれ、アイデア出しからプロトタイピング、ブラッシュアップ、プレゼンテーションまでを数日間にかけて行い、我々はそのうちの「プロトタイピング」の日程に参加しました。

各チームのプランの概要は、

  • チームA:髪を結ぶための補助具(手を後ろに上げるのが難しい人のための自助具)
  • チームB:片手で気軽にアクセサリーをつけられる自助具
  • チームC:片手で手を綺麗に洗うことができる自助具
  • チームD:台所で包丁を簡単かつ安全に使えるようにする自助具
  • チームE:ヘアアイロンの扱いが難しい人のための自助具

参加者が大学生ということも影響してか、「ファッション」を当たり前に楽しむためのアイデアが見られたり、コロナによって高まった衛生観念に基づいたアイデアなどもあり、世代的な着眼点が感じとれました。自助具のあり方についてはファブラボ品川の濱中さん・林さんがご専門なので、井上はアイデアを如何に形にするプロセスや、同じアイデアを達成するために他のパターンが無いかなど、プロトタイピングに注力してメンタリングを行いました。

各チームには地域の工業会メンバーやNADOのスタッフがつき、サポートを受けながら制作を進めていきます。参加した2日間の中でも数回の発表のタイミングがあり、各チームの進捗やプロセスの変遷などを共有する仕組みがとられていました。後日行われる最終プレゼンテーションで優勝すると賞金も出るコンペ形式のイベントということもあってか、どのチームも真剣に、それでいてアイデアを形にするプロセスを楽しみながら取り組んでいる印象でした。

ナザレ大学は医療や福祉の大学であるため、参加している学生さんたちは必ずしもものづくりに精通しているわけではなく、アイデア出しに慣れていない場合もあります。アイデア出しや制作の手札が限られている中で、彼らから見た「斜め上」からのオピニオンを入れることを意識しました。チーム内の「煮詰まり」は2日間という限られた時間では大きなロスになるため、技術的なノウハウだけでなく、そうしたオピニオンを通じてチームを活性化させるかたちで各チームとコミュケーションをとりました。2日目の最後の発表では、各チーム荒削りながらもアイデアを形にしたプロトタイプが完成し、実演も交えて発表しました。1度完成させたことで改善点も見えてきたのか、イベント終了後もディスカッションを続けるチームが多かったです。

既にある程度の認知を得た「メイカソン」という形式ですが、企画の趣旨や参加者が異なれば、毎回新鮮な刺激を得られるのが魅力です。福祉や自助具といった分野に関しては専門外なだけに、日常の所作をより注意深く観察する大変良い機会になりました。また次回のコラボレーションを期待しています。