デジファブパーク制作レポート(1)【39ブロック】

デジファブパーク制作レポート(1)【39ブロック】

長野県佐久市にある、佐久市子ども未来館で開催された2022年夏の企画展「デジファブパーク」。会場を彩った数々の展示物の中から、その一部の制作レポートをシリーズでお送りします。レポートの第一弾は、子どもたちが実際に手にとって遊んだ「39ブロック」を紹介します。

色とりどりのブロックを子どもたちが自由に組み立てて、デジファブタウンの風景を彩る「39ブロック」は、3Dプリンターで造形されています。会場となった佐久にちなんで「39」とし、39枚の羽が中心から伸びた形をしています。形は大小合わせて9種類、色は5種類あります。会期前に500個ほど用意し、会場に設置した「3Dプリンターファクトリー」で会期中も毎日造形していました。

会場の「3Dプリンターファクトリー」で造形が終わった39ブロック

まずブロックをデザインするにあたり、いくつかの条件をクリアする必要がありました。

・子供が誤って飲み込まないサイズ
・ブロック同士を上下にしっかり繋げられる
・会期前に500個分の造形が可能
・会場でラフトやサポートの取り外しといった作業が発生しない形
・ブロックのバリエーションと統一感の両立

ブロックの設計にはRhinocerosとGrasshopperを使用しました。いくつかの試作を経て、ブロックの見た目と造形スピードのバランスから、ノズル径を0.8mm、レイヤー高さを0.6mmとし、細かな設計を詰めていきました。ブロック同士を繋げられる様、ブロックの上下に設けた凹凸を調整しつつ、できる限り無駄のない形に絞っていきました。

右側で一部切り離されており、全体として見ると「C」の形になっています

工夫したポイントは、一部を切り離したことで断面を「C型」にしたことです。上のCuraのキャプチャ画像は、ブロックの1層目を表示したものになりますが、右側の一部が切り離されているのが分かります。この切れ込みはブロックの頂点まで続いており、厳密には「O」ではなく「C」の形になっています。「C型」にするメリットは、Curaの”Spiralize Outer Contour”という機能が使える様になり、モデル全体を一筆書きで造形できることです。これにより造形時間が大きく短縮でき、材料の無駄もなくなります。どの位置をとっても2列走る様に設計しているので、0.8mmの太めのノズルであれば十分な強度が得られます。

ブロックの形状バリエーションはGrasshopperから試作・検討

ブロックの形にバリエーションをもたせるのは、Grasshopperの得意とする分野です。基本となる真っ直ぐのブロックをベースに、ひねったり、膨らませたり、色々なアレンジを加えては形にしてみて、良い塩梅のブロックを選定しました。Grasshopperの様なパラメトリックなデザイン手法は、一つ一つをモデリングすることなく、たくさんのバリエーションを短時間で試せるのが最大の魅力です。今回の様なケースでは、試作・検討をとてもスピーディーに進めることができました。

子どもたちが遊び終えたデジファブタウンは、毎日個性的な街並みになりました。

会期中にブロックで遊ぶ子どもたちは、同様のおもちゃで遊び慣れていることも手伝ってか、すぐにブロックの特徴を理解し、それぞれの方法で遊び始めていました。ひたすら高く積み上げる子もいれば、橋の様にして列車が下を潜れる様にしたり、レールを挟むようにブロックを並べ、カラフルな街路樹を通り抜ける様子を車載カメラで楽しむ子もいました。今はまだおもちゃでも、この子供達が大人になった時に、その時の技術をうまく活用して「自分たちの街を自分たちでつくる」意識につながれば、これほど嬉しいことはありません。

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