3Dフードプリントチョコレート「exform」レポート

2022年5月2日〜10日に、3Dフードプリントチョコレート「exform」の販売イベントが行われました。当日はプリントのデモンストレーションも行っているとのことで、巷ではまだなかなか見ることのできない、3Dフードプリンティングの体験イベントに伺いました。

お話を聞かせてくれたのは、Byte Bites代表 デジタルフードデザイナーの若杉 亮介さん

イベントは東急ハンズ新宿店のキッチンコーナーにて開催されており、よく見るキッチン用品と、3Dフードプリンターが同じ空間に並んでいたのが印象的でした。
イベントを開催する「Byte Bites」は、3Dフードプリンタを用いた食表現・食体験の拡張を目指す会社です。
既存の作り方(煮る、焼く、揚げる など)から離れ、3Dフードプリント技術により食品の構造自体をデザインし、食感を変えていくことを目指しています。今回販売された3Dプリントチョコレート「exform」は、構造の違う2種のモデル設計により、同じ素材でも異なる食感となるように開発されています。

使用していたのは、中国製のフード3Dプリンター「Wiiboox Sweetin」

ノズルからゆっくりと吐出されるチョコレート。粘度が低く、サラッと滑らかな質感が特徴的

材料は一般的に使用される製菓用のチョコレート。これをプリンターのシリンダーに詰めて加熱します。チョコレートの3Dフードプリントでは、一度材料を溶かして細いノズルから押し出し、再度冷まし固める必要があるため、材料の内容物などが3Dプリントに適しているかが重要になります。プリント後の美味しさも吟味した材料選定、また、美しい仕上がりのチョコレートプリントを可能にするための温度やスピードなどの条件出しにも苦労されたそうです。

チョコレートごとに異なる食感を図示した「食感パラメーター」
実際に食べてみると、とても軽い口当たりで、極薄のチョコレートのカリッとした食感が楽しい。
それぞれの構造により、噛んだときの砕けやすさや、溶け方の違いが感じられた。
1つあたりのプリント所要時間は10分〜15分。0.4mmの精細な積層痕が美しい

今回使用されたフードプリンターはチョコレート以外の材料にも対応しており、アボカドやじゃがいものペーストも上手くプリントできるそうです。かまぼこパウダーを用いて「ジャイロイドかまぼこ」という構造体を持ったかまぼこをプリントし、おでんにして提供するイベントも開催されています。食感の違いだけでなく、多孔構造につゆが染み込んでよりジューシーになるというメリットもあったそうです。

このチョコレート自体の販売は今回で一度終了となりますが、今後も3Dフードプリンターを使用した食体験の拡張ワークショップやイベントを開催される予定とのことです。
日常とは違うワクワク感を体験していただくことをコンセプトに、日々新たな食体験開発をされているByte Bites。今後の提案も楽しみです。

Byte Bites株式会社