ファブラボ・ベータ・馬車道のクローズのお知らせ

横浜創造都市センター(以下YCC)の運営契約期間満了に伴い、同館の3階で運営していた「ファブラボ・ベータ・馬車道」は、2020年3月31日にクローズをいたしました。

テーマは「親子」

ファブラボ・ベータ・馬車道は、オープン当時から「親子ファブ」をテーマに活動してきました。国内のメイカームーブメントが確実に広がりを見せていた2015年、当時はもっぱら大人の男性がムーブメントの中心を占めている印象でした。そんな中、親子でコミュニケーションを取りながらものづくりに取り組める、そんなファブラボをつくってみよう、という思いからスタートしたのが、このファブラボ・ベータ・馬車道でした。布の手触りや鮮やかな色使いが親子のコミュニケーションを促すのではないかという狙いから、工業用刺繍ミシンや昇華プリンターといった、他のファブラボではあまり見られない機材を設置しました。
奇しくもYCCの建物は2013年の世界ファブラボ会議(Fab9)の会場でもあり、実はファブラボと縁の深い立地でもありました。そんな場所にこうしてファブラボ・ベータを開設できたことは、関係者としてとても嬉しい出来事でした。

ファブラボ・ベータ・馬車道とは
ファブラボ・ベータ・馬車道は、YCCを運営する(当時)特定非営利活動法人YCCより依頼を受け、当社が運営していました。「ベータ」の名称は、国内のファブラボの立ち上げ方として推奨されている方式によるものです。
ラボ準備期〜検証期=名称にベータを付けて活動。地域に解放しながら、ファブラボとしての可能性を検証する期間。ラボの運用ルールの制定や機材の選定、周辺コミュニティーとの協業模索など、ファブラボの持続可能性を模索する為の活動期間。また、ファブラボ憲章の理解を深める時期。
拡散期以降=ベータ表記を外し、ファブラボとして活動。ベータ名称期に培った知見を活かしながら、地域に解放たファブラボ活動を展開。ファブラボ憲章に則ったラボ運営
が展開されます。

心強いパートナーとの共創

ファブラボ渋谷(当時)で培ったノウハウを活かしつつも、布を扱う各種機材を「親子ファブ」という切り口で運用するのにはいくつもの挑戦が必要でした。そんな中、ラボの立ち上げから運用に至るまで、刺繍マスターの人見愛子さん、手作りおもちゃ作家の佐藤蕗さんの2人が共創パートナーとして参画してくれました。このおふたりがいたからこそ、多くのイベントが実施でき、多くのアイデアがカタチになりました。他にも、コクボマイカさんや狩野さやかさんといった、外部のクリエーターを招いたイベントも実施できました。「親子ファブ」という切り口から取り組んだ結果、同時期に運営していたファブラボ渋谷やファブラボ藤沢とも異なるタイプのユーザーさんと出会い、「Fabの力はどこにでも活かされうる」という手応えを感じました。
そして特筆すべきことは、横浜市を代表するクリエイティブカンパニー株式会社NDCグラフィックスと、横浜グッズを企画販売する株式会社エクスポートさんとのコラボレーションです。NDCグラフィックス社と共に企画商品化した「刺繍ラペルピン」のシリーズは、今も横浜市内各所でおみやげアイテムとして販売されています。一流のクリエイティブ企業と共に、ファブラボで企画製作したものを「商品」として消費者に届ける、という一連の経験は、私たちにとってターニングポイントとなりました。

国内ではじめての地域複数ファブラボ

前述の世界ファブラボ会議(Fab9)に合わせてスタートした「ファブラボ関内」は、ファブラボ・ベータ・馬車道から歩いて3、4分ほどに位置していました。ファブラボ・ベータ・馬車道にとっては先輩ファブラボで、互いに歩いていける距離に2つのファブラボがあるというのは、国内では初の事例でした。ファブシティ宣言などが未だ無い時期に、「親子ファブ」というコンセプトを先に立てることでラボの特色を出し、ユーザーが混乱しないように配慮しつつ、互いの強みを活かし合う連携を模索していました。国内にファブラボが増えていくにつれ、ラボごとの特徴がより重要になってきたのも、この頃からだったように思います。

おわりに

5年間の活動を記録した数々の写真を振り返りながら、名残惜しさも感じつつ、また横浜という街と関われる日が来ることを願っています。2015年6月からおよそ5年間、多くのユーザーとの出会いがありました。
これまでのご愛顧、ご利用、誠にありがとうございました。

Very Special Thanks to
株式会社ミマキエンジニアリング
株式会社ヨコハマシステムズ
株式会社ストラタシス・ジャパン

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