M.ZONE|レジデンス渡航記-03

こんにちは、デジタルファブリケーション協会の井上です。

台湾レジデンスプログラム3日目は、いよいよ2日間に渡るワークショッププログラム「新しいFabサービスを開発する」が始まります。今回はその1日目のレポートをお送りします。個人的には今回のレジデンスプログラムの本命と位置づけ、現地の参加者が何を考え、どういう発想に至るのか、また異国の地で2日間のファシリテーションをどう進めるかなど、期待と緊張で綯交ぜでした。

参加者は主にM.ZONEのユーザーさんやスタッフで、老若男女が混在する16名の多彩な顔ぶれでした。まずは自己紹介から始まり、今回の内容についてアナウンスします。サービスを作っていくにあたり、「作る楽しさ」は前提としつつ、そのサービスがM.ZONE・駁二芸術特区、あるいは高雄といった地域性に根ざしているかどうか、サービスの再現性や展開性、地域コミュニティとの連携など、普段のワークショップ設計とは異なるであろう視点を意識づけるところから入りました。

16名を4つのグループに分け、まずはブレストからスタートさせます。最初の意識づけが効き過ぎたのか、ペンが進まない参加者さんも。中にはブレストという行為に慣れていない参加者さんもいました。“Never say no”の精神でテンポ良く書き留めるようハッパをかけます。

ペン運びが全体的に落ち着いてきたところで、今度はその場に並んだアイデアを話し合いながら整理させます。途中で書きたくなったらどんどん書き足すように、こちらも促します。アイデアの整理が進むとグループのカラーが見えてくるもので、各々のグループに大枠としてどのようなテーマで取り組むか発表してもらいました。

グループA:オリジナルプロダクトの開発と駁二芸術特区内での水平展開
M.ZONEが位置するこの駁二芸術特区は、港湾を区画リノベーションして出来た観光地のため多くの人が訪れます。近隣にはお洒落なショップも並び、M.ZONEだけでなくそうしたショップでも販売可能なプロダクトの開発をテーマに掲げました。

グループB:観光者向けワークショップの開発
観光地でありながら、M.ZONEに立ち寄った観光客が楽しめるサービスがないということで、観光客をターゲットにした体験型ワークショップの開発をテーマに掲げました。

グループC:ディスプレイの開発
M.ZONEの内部は充実した設備と作り込みで人目をはりますが、建物の外観は確かに大人しく、一見してM.ZONEだとわからないといってもいいかもしれません。そこに着目して、外に面した大きな窓にメイカースペースらしいディスプレイの開発をテーマに掲げました。

グループD:地域特性を活かしたM.ZONEの新ビジネスモデルの提案
他の3グルーブと異なり、こちらのグループはビジネスモデルという、プロダクトやワークショップのような具体的な形をもたない内容でした。普段はとある企業のマーケティングを担当されている方がグループ内にいたのも影響したのかもしれません。デザインや造作などの依頼を外部から受け付け、広範なスキルをもつM.ZONEの会員の中から適したスタッフをアテンドし、その仲介料をとりつつ会員とM.ZONEの双方がWin-Winの関係となる事業モデルを提案しました。弊社が発足した当初入居していた「co-lab渋谷」と「FabLab Shibuya」の関係に近い部分もあり、その当時の様子や仕組みなどを伝えました。

午後に入ってからは各グループとも内容の詳細を詰めたり、試作を進めるなど、手を動かすフェーズに移りました。あらかじめ各グループのスキルレベルが均等になるようにグループ割りをしてくれていたおかげで、機材レクチャーに時間をとられることもなく、スムーズに作業が進んでいました。この頃になると、ブレストから始まった当初に見られたぎこちなさも無くなり、おそらくこちらが普段の姿なのだろうと感じました。

ワークショップの終わりに、改めて各グループの制作内容や進行状況を簡単に発表してもらい、1日目が終了しました。参加者が試作していた内容については次回のレポートで紹介したいと思いますが、手を動かし始めてからのスピード感はまさに”メイカー”そのもので、「手を動かしながら考える・手を動かしてると思いつく」を地で行っている印象でした。
Photo taken by Lily Hung

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