イベントレポート | 再利用アクリルを研磨・染色して作る”プラ寿司”ワークショップ

神奈川大学みなとみらいキャンパス ラボ(ファブラボみなとみらい)では、神奈川大学生向けのデジタルものづくりワークショップを定期的に開催しています。7月に開催されたワークショップは、夏休み直前の“特別編”を開催。ラボをよく利用する大学4年生の”先輩”をゲストとしてお招きし、後輩たちに向けてとっておきのものづくりレシピを紹介していただきました。
そのワークショップの様子を、弊社の常駐スタッフがレポートします。


今回制作したのは、2023年度の学園祭でも披露され、話題になった”プラ寿司”。使われなくなったアクリルパーテーションを加工して”ネタ”を作ります。まるで本物のお寿司のような”プラ寿司”づくりに、ワークショップは大盛り上がりでした。

“プラ寿司”とは?
プラ寿司が誕生したのは2023年6月。コロナウイルスの猛威が落ち着いてきた頃で、この時期、食事や会話の際に活躍していたアクリルパーテーションの撤去、大量廃棄が課題となっていました。
そんな課題に直面し、ファブラボみなとみらいでは、アクリルパーテーションをものづくりの “素材”として再利用できるよう、ラボでの提供をはじめました。ラボを利用する様々な人のアイデアと、デジタル工作機器をかけ合わせることで、役目を終えたアクリルパーテーションに新しい命を吹き込むことができるのではないかと考えての取り組みでした。
素材としての提供開始と同時に、学内利用者を対象にした『Re アクリルデザインアワード』を開催しました。アクリルパーテーションを材料に制作した作品を募集・展示したこのイベントから”プラ寿司”が誕生したのです。

カラフルでそれぞれのネタの特徴を上手に表現しているプラ寿司は、鑑賞者の心をぎゅっと握り、話題になりました。プラ寿司の作者である神奈川大学経営学部の藤澤大耀さん、望月嶺さんは、イベントが終わってからも、日々プラ寿司をアップデート。学園祭での展示・販売も行い、話題となりました。寿司下駄、お皿などのお寿司以外のものも製作。ネタごとに異なる値段設定も。細部へのこだわりを感じます。

プラ寿司をつくろう!
そんな経緯の中、今回企画されたワークショップ。興味のある学生も多かったようで、定員以上の参加者が集まり、学部も学年も様々な学生が揃いました。ワークショップの時間内にプラ寿司の製作すべてを行うのは難しいので、事前に3Dプリント製の”シャリ”と、アクリルパーテーション製の”ネタ”が用意されました。
はじめに、まぐろ・サーモン・たまご・えび・ほたての中からつくりたい寿司ネタをひとつ選び、それぞれの寿司ネタに分かれて製作を進めました。

参加者のメインの作業は、ネタの染色と曲げ加工。
まずは、自分のつくりたいネタの色を染めます。時折様子をうかがいながら、プラスチック用の染色液にネタを浸けます。ネタによっては、数色の液に少しずつ浸けて微妙な色あいを調整します。染色液に浸けすぎると不自然にみえてしまうこともあるため、慎重に作業を進めました。

ネタを染めることができたら、今度はシャリにのせやすいようにネタを曲げる作業です。熱風を吹き出すヒートガンを使用し、火傷に注意をしながらアクリルを温め、ちょうど良いカーブになるよう手で曲げます。あまり温めすぎるとネタに気泡が入ってしまうため、こちらも慎重に。

最後は、まるで醤油皿とお箸のような道具を使って、シャリとネタを接着して完成!先輩からの製作のコツの伝授もあり、後輩たちはみんな納得のいく作品をつくることができたようです。おいしそう!

これまでは接点のない学生同士が集まったワークショップでしたが、製作が進むにつれて、それぞれ普段どんなことを勉強しているのか、どんなことに興味があるのかなどを話し、お互いに打ち解け合うことができたようです。

この体験を通して、学生同士の新たなつながりができ、自身のものづくりを深めるきっかけにもつながりました。学生から学生へと、ものづくりの知恵や技術が受け継がれるような機会となった今回のワークショップ。ファブラボみなとみらいだからこそのものづくりのサイクルが生まれはじめています。


■概要
神奈川大学2024年7月の学生向けワークショップ
「 先輩がつくっているものってどんなもの?~ 廃棄アクリルで本物のようなお寿司 “プラ寿司”をつくろう 編~」
日時:2024年7月22日(月) 17:30~19:00
対象:神奈川大学生
学生ゲスト・プラ寿司作者:藤澤大耀さん(経営学部4年) / 望月嶺さん(経営学部4年)

ファブラボみなとみらいは、学生だけでなく地域にもひらかれている、デジタルファブリケーションスタジオです。
小学生から会員になることができます。利用方法やオープンカレンダーは、オフィシャルサイトをご確認ください。
2021年度より、当社が運営をお手伝いしています。
https://www.kanagawa-u.ac.jp/cooperation/project/fablab/