つくる・伝える・体験する。K-STEAM類型の1学期報告 2026

こんにちは、広島工業大学高等学校(以下:工大高)の工房で常駐スタッフをしている、青山(NOCUTAN)です。

2026年度の1学期、工大高のK-STEAM類型では、さまざまな場所で「つくる」ことを軸にした活動に取り組んできました。授業で生まれた作品を外の世界へ届ける「Kyoto Micro Maker Faire 2026」や「EDIX東京2026」への出展、学校を訪れる中学生にものづくりを体験してもらう「第1回オープンスクール・放課後体験会」、そして3年生が自ら考えて準備し、実施した「ワークショップ企画」。

それぞれ形は違いますが、共通しているのは、「つくって終わり」ではなく、つくったものを誰かに見てもらい、使ってもらい、体験してもらうことです。

今回は、工房にいる常駐スタッフの視点から2026年度 1学期のK-STEAM類型の活動を振り返ります。

Kyoto Micro Maker Faire2026に出展

ものづくりの祭典に初出展!作品と共に届けるあそび心

今年の4月に「Kyoto Micro Maker Faire 2026」へ出展を行いました。

Maker Faireは、ものづくりを楽しむ人たちが集まり、自分たちのアイデアや作品を展示・紹介するイベントです。企業や個人のメイカーだけでなく、教育機関や学生による展示も多く、さまざまな分野の「つくる人」と出会える場となっています。

今回の出展では、工大高として初めての出展です。会場では3名の生徒がK-STEAM類型の授業で 生まれた作品を中心に紹介しました。

K-STEAM類型では、3Dプリンターやレーザーカッター、UVプリンターなどのデジタルファブリケーション機器(※以下、デジファブ機器)を活用しながら、デザイン思考を取り入れたものづくりに取り組んでいます。

会場では、未来デザイン部が開発したAI画像生成アプリ「Pick×Picture」を活用し、スマートフォンで写真を編集するワークショップを開催しました。編集した写真を印刷し、スクエア型のフレームに差し込んで、オリジナルのキーホルダーとして持ち帰っていただきました。

AI画像生成アプリ「Pick×Picture」で好きな写真を加工・印刷し、フレームに入れてキーホルダーとして持ち帰れる体験を実施。 

普段は学校の中で製作している作品も、学校の外に持ち出して展示することで、いつもとは違った視点で作品を見ることができます。作品を前に、来場者と会話をすることで、生徒たちの学びを外へ開いていく機会となりました。

生徒の感想 國武君
多くの人から部活や個人の活動だと思われており、高校の授業で製作を行っていることに驚く人が多く、まわりから見ると、大学生レベルの活動だということをさらに実感した。プレゼンでは、限られた時間の中でも準備した内容を落ち着いて伝えることができました。ブースでの説明にも活かせたと思います。他のブースからも、ものづくりの楽しさを伝える工夫を学びました。次回は、余裕を持って準備やリハーサルをしたいです。

会場内で発表をする様子

また、前日には多くのデジファブ機器を備える京都芸術大学のULTRA FACTORYを訪問。後日、同学年や後輩に向けて行われたMaker Faire報告会では、普段、授業や放課後の活動で使用している機器の大学での活用方法を知り、活用事例と共にものづくりに関する知見を深めたと報告しました。

京都芸術大学のULTRA FACTORY 見学の様子

Kyoto Micro Maker Faire 2026
出展:広島工業大学高等学校 K-STEAM類型
授業企画:広島工業大学高等学校 教員

プロジェクトサポート:デジタルファブリケーション協会(DFA) NOCUTAN

EDIX東京2026でK-STEAM類型の学びを紹介

大人ばかりの会場で、3日間の外部展示会。聞き手を考え、アピールするプレゼンテーション

続いて紹介するのは、教育分野の展示会「EDIX東京2026」。
EDIXは、学校教育やICT、教育サービスなど、これからの教育を支えるさまざまな取り組みが集まるイベントです。
当社ではここ例年、当展示会へ出展し、教育業界向けのデジタルファブリケーション事業について紹介をしています。
また、出展協力として、広島工業大学高等学校の皆さまにもご一緒していただいています。

展示会では、K-STEAM類型で行っている授業や、Creative Learning Lab(CLL)でのものづくりの取り組みについて、生徒が一緒に紹介しました。

デジファブ機器を活用した授業や自主製作で製作した作品を展示

K-STEAM類型で大切にしているのは、単にデジファブ機器の使い方を学ぶことではありません。大人ばかりの会場で、高校生たちは、K-STEAM類型で学んだことや自分の作品について紹介し、来場者からの質問に答えたり、積極的に声をかけたりしていました。

プレゼンテーションや作品紹介に加え、生徒が考案したもみじ型キーホルダーを製作するワークショップも実施。デジファブ機器が実際に稼働する様子を見て、ものづくりを体験できる機会を自分たちでつくり上げました。

UVプリンターでつくる もみじキーホルダーのワークショップ

教育関係者やさまざまな分野の方に活動を紹介することで、普段の学校生活だけでは得られない視点やつながりを得る機会にもなりました。

生徒の感想 渡邉君
他校の先生方から「DXハイスクールに選ばれたけど、何をすればいいか分からないので参考にしたい」などの声をいただき、自分たちの活動が誰かの参考になることを実感しました。 

また、EDIX東京の期間中にインターンシップとして、横浜周辺の企業やファブラボを訪問しました。

株式会社NDCグラフィックス

ソニー株式会社 ソニーシティみなとみらい
神奈川大学 ファブラボみなとみらい

後日、同学年や後輩に向けて行われた報告会では、学校の代表として、発表を再現したり、当日感じたことを話したりました。

生徒の感想 林君
EDIX東京では、実際にいろいろなブースを見て、商品の内容だけでなく、来場者が自然と足を止める雰囲気づくりや話し方が大切なんだと感じました。自分たちも出展する側として来場者の方と話す中で、相手に合わせて会話を広げることの楽しさを知ることができました。また、自分たちの活動をどう伝えるかによって、同じ内容でも印象が変わることにも気づき、伝え方について考えるきっかけになりました。

EDIX東京2026
共同出展:ローランドディー.ジー.株式会社
パートナー:学校法人鶴学園 広島工業大学高等学校 / ファブラボ神田錦町

第1回オープンスクール・放課後体験会

自作のアプリでデジファブ機器の設定も楽々!一度に約40人が体験できる仕組みづくりと誘導を実践

学校では、中学生にK-STEAM類型の活動を知ってもらうため、「第1回オープンスクール」と「放課後体験会」を実施しました。普段K-STEAM類型で使用しているデジファブ機器を活用し、実際に「つくる」体験をしてもらう企画です。

今回は、未来デザイン部が主催となり製作や企画や進行を担当。部活のメンバーで作り上げた画像生成アプリ「Pick×Picture」を使用しました。来場者は各自のスマートフォンでアプリを実際に操作し、好きな写真をキーホルダーにして持ち帰ることができる体験です。一度に40人ほど体験することができます。

アプリでは、自身の加工のテイストを選ぶだけではなく、UVプリンターの印刷設定まで可能。当日は、体験者が設定した写真のデータを機器に送るだけで印刷準備は完了。素材をセットし、ボタンを押すだけで印刷できます。持ち帰る際には、印刷が完了しており、体験者はボールチェーンをつけてキーホルダーを完成させます。

また、普段の授業を実施する工房や、生徒が製作した作品の体験会を、生徒自身が引率して実施しました。

学校の紹介を聞くだけではなく、機器を操作したり、素材に触れたり、ものが形になる様子を見たりすることで、K-STEAM類型での学びをより身近に感じてもらうことを目指しました。

生徒が卒業製作の授業で製作したゲーム作品を体験

「工大高でこんなものがつくれるんだ。」そんな小さな驚きや興味が、ものづくりへの入り口になります。

K-STEAM類型が目指しているのは、完成された答えを教えてもらう場所ではなく、自分で考えて、試して、つくってみる場所です。その面白さを、少しでも体験してもらえる機会となったと思います。

第1回オープンスクール・放課後体験会
企画・運営:広島工業大学高等学校 K-STEAM類型 未来デザイン部
授業企画:広島工業大学高等学校 教員
授業・プロジェクトサポート:デジタルファブリケーション協会(DFA) NOCUTAN

3年生が企画・実施したワークショップ

地域の小中学生を工房へ招き、4日間で自分たちで考えた12種類のワークショップ企画を展開

そして、夏の活動の中でも特に大きな挑戦となったのが、3年生によるワークショップです。7月28日〜31日にかけて、3年生が自分たちでワークショップを12種類企画し、実施しました。

ここで大切にしたのは、「何をつくるか」だけではありません。

実際に誰かに体験してもらうためには、作品をつくるときとは違った視点が必要になります。「誰に体験してもらうのか」「どのような手順なら分かりやすいのか」「必要な材料は何か」「時間内に完成できるのか」「初めて機械を使う人でも楽しめるか」。

自分たちが「分かっている」ことと、初めて体験する人が「分かる」ことは同じではありません。その違いを考えながら、説明方法や製作工程、材料などを検討し、準備を進めました。

当日は、参加者の様子を見ながら声をかけたり、困っているところをサポートしたりと、3年生自身がワークショップの進行を担当。多くの参加者でにぎわいました。

ものづくりワークショップ 自作バトルゴマの様子

「つくる側」から「体験をつくる側」へ。これまでの授業で身につけてきたものづくりの技術だけでなく、相手の立場に立って考える力や、伝える力を実践する機会となりました。

3年生が企画・実施したワークショップ
協力:広島工業大学高等学校 K-STEAM類型
授業企画:広島工業大学高等学校 教員
授業・プロジェクトサポート:デジタルファブリケーション協会(DFA) NOCUTAN

「つくる人」をつくる

Maker Faire、EDIX、オープンスクール、放課後体験会、そして3年生のワークショップ。これらの活動には共通するものがあります。

それは、「つくる」ことを通して、人とつながることです。

作品をつくり、誰かに見てもらう。感想を聞いたり、実際に使ってもらったり。うまくいかなかったところを考え、そしてまたつくる…。この繰り返しの中で、ものづくりは単なる「製作」から「学び」へと変わっていきます。

K-STEAM類型では、デジファブ機器を使えることだけをゴールにはしていません。自分の身の回りにある小さな気づきを出発点に、アイデアを考え、手を動かし、形にする。そして、そのアイデアを誰かに届ける。

そんな経験を積み重ねることで、周りの人と一緒に新しいものを生み出せる「つくる人」を育てていきたいと考えています。

2026年度の1学期も、K-STEAM類型ではたくさんの「つくる」が生まれました。これからも、授業の中だけにとどまらず、学校の外へ、地域へ、そして社会へ。生徒たちのアイデアと「やってみたい」を届けていきます。

弊社では、学校現場でのデジタルファブリケーション機器の活用をサポートしています。機器は導入したものの使い方がわからない、生徒や教職員への指導方法に悩んでいる、そんなお悩みをお持ちの教育関係者の方はぜひご相談ください。教室の空間デザインから機器の操作レクチャー、スタッフ教育、STEAM領域での授業プログラム開発まで、幅広くお手伝いいたします。詳しくは下記HPをご覧ください。
デジファブでSTEAM教育