デジファブ施設に最適なエプロンをつくる

デジファブ施設に最適なエプロンをつくる

レーザーカッターや3Dプリンターなどのデジタルファブリケーション機器を備えた「デジファブ施設」。
私たちは、こうしたものづくりの現場を日常的に運営しています。
自社で運営する「ファブラボ神田錦町」の他、企業内や学校内など、さまざまな方が利用する場所のデジファブ施設の運営を、スタッフが常駐しながらサポートしています。

2025年春、新たに大学内デジファブ施設の立ち上げをサポートしました。
各種デジタル工作機器を備え、学内の方のみならず、地域の方々も自由に使用することができる工房です。そんなデジファブ施設の、スタッフ用ユニフォームを用意することになりました。
ガレージをイメージしたおしゃれなフリースペースを活用して設置された空間。リッチな雰囲気にふさわしい、最適なユニフォームを用意したい!
この記事は、こんないきさつから始まった「デジタルものづくり施設のためのオリジナルユニフォーム」制作の記録です。

世の中のユニフォームたちでは意外としっくりこない

まずは市販品をリサーチします。
様々なワードでネット検索したり、街中を歩いていろんなお店の店員さんのユニフォームを見て回ったりしました。
ユニフォームのイメージが集まったら「オリジナリティ↕︎スタンダード」「フォーマル↔︎カジュアル」の軸でマトリクス図に当てはめてみます。どんなイメージのユニフォームが、ぼんやり考えている理想系に近いのかを考えてみました。

分類分けしてみたところ、「カジュアル」「オリジナリティ」を兼ね備えたゾーン(右上あたり)にあるユニフォームは専門性と作業性に長けたイメージを持つ業種に多く、その部分にあるユニフォームの印象がしっくり来るのではないかという結果になりました。着脱の簡便さも考慮して、以下のイメージに絞って市販品から模索してみました。

キッチン、カフェ用エプロン
 [メリット]
 ・おしゃれで雰囲気が良いものが多い
 [デメリット]
 ・工作用としては生地が薄め。電動工具を使ったり、ハードな作業には不向き。
 ・「カフェ店員」っぽいという印象が拭えない

キャンプ、アウトドア用エプロン
 [メリット]
 ・厚手で丈夫
 [デメリット]
 ・腰丈のものが多く、足元をカバーしきれない
 ・立体ポケットなどのパーツが多く、着たときのシルエットがゴワゴワしがち。

長袖型ユニフォーム(上着のように着込むタイプ)
 [メリット]
 ・面積が広く、着ているスタッフの印象を統一しやすい
 [デメリット]
 ・着脱に手間がかかる。形状によっては更衣室が必要。
 ・洗濯頻度が高くなる。
 ・活動量がその日の作業によって異なるため、体温調節が難しい。

市販品を模索してみると、良いところも悪いところも持ち合わせている印象。
形としては、エプロン型が都合が良さそうだという意見にまとまりました。が、いざ「デジファブ施設用」として探してみると、「これだ!」と思えるものがなかなか見つからない……。
それならいっそ、痒いところに手が届くエプロンを自分たちでつくってしまおう

デジタルものづくり工房ではたらくスタッフのためのエプロンとは?

では、どんなエプロンが理想なのか。改めて、必要な条件を洗い出してみました。

  • 厚手で丈夫、木屑や粉塵にも耐えられる
  • 動きやすく、しゃがんだり立ったりが楽
  • 休憩やシフト交代で脱ぎ着することも多いので、私服の上からサッと着用できるスタイル
  • ネックストラップなどを収納できる胸ポケット付き(作業中の巻き込み防止のため)
  • 長時間着ていても疲れない
  • 自宅洗い、コインランドリー、クリーニング全てOK
  • カッター、ペン、ハサミ、定規、ノギスなど、よく使う工具が収納しやすい
  • デジタルものづくり機器でカスタマイズしやすい

「デジファブ施設で働く」というリアルなシーンを想像すると、エプロンに求める条件が多岐にわたることに気づきます。

現行モデルからのアップデート

実は、すでに私たちスタッフが数年前から使用しているエプロンが存在します。
生地や仕立てからすべてオリジナルで設計した、こだわりの一着です。制作は、ユニフォームメーカーのシタテルさん(https://sitateru.com/)に依頼しています。

現行モデルの良いところ
・ポケットが多く収納力抜群
・厚手の生地をベースにした耐久性の高いつくり
・肩が疲れない太めのストラップ
・革、メッシュ、帆布、カシメなど様々な素材を使用した高級感のある仕上がり

今回検討した理想のエプロンの条件と比較してみても、このモデルがやはり最適なのではないか、という結論に至りました。しかし、熟考を経て設計された現行モデルでも、これまで使ってきて見えてきた課題もありました。

改良したい点

  • 革素材を使用しているため、通常のエプロン価格でクリーニングに出せない。コインランドリーや自宅での洗濯も難しい。
  • ストラップが太く生地が厚いので、背面でのリボン結びがしづらい。結び方によってはいつの間にかほどけていることもある。
  • 前身頃、足元の生地が全て繋がっているので、足さばきが悪い場面がある。
  • 体型や体勢によっては、作業中に肩ストラップがずり落ちてしまうことがある。

毎日着用するスタッフからも「もう少しこうだったら…」という声をリサーチし、この機会に新しいモデルへアップデートしようと決意しました。現行モデルの型紙をベースに、新モデルもシタテルさんに制作相談をしました。良い部分を踏襲しながら、抱えている課題を解決したい。「機能性」と「見た目」をどちらも妥協しない仕立てについてご相談をしつつ、制作を進めていただきました。

そしてデジファブエプロンが完成!!

そんなこんなで打ち合わせを重ねながら約半年後、完成したエプロンがこちらです。
(胸元には当社のオリジナルワッペンを取り付けています)

現行モデルからはデザインを大きく変えず、エプロン全体の印象はそのままに、色合いと各パーツの素材を変更しました。
親しみやすさとおしゃれさを両立し、シンプルな工房にも、少し雑多な工房にも自然に馴染む雰囲気に仕上がりました。

素材、デザイン
大きなアクセントになっている色違いの右ポケットは、素材を帆布で統一し、洗濯が楽にできるように考慮しました。また、洗濯に気をつかう革素材や金具は使わない仕様に変更しました。
ポケットは左右とも大容量で、作業に合わせて必要な道具が持ち運べます。サイズも様々で、入れたい工具などの寸法に合わせて使いやすく収納できます。左ポケットのメッシュ素材は、カラーを右ポケットのブラウンと合わせました。

肩ストラップ
肩紐の長さはボタンで3段階に調節できるスタイル。

小柄な方から大柄な方まで、幅広く対応できます。一度調節すれば毎回サイズを変更する必要なく、スピーディーに着用できます。
【写真】身長約155cm(左)でも、180cm(右)でもぴったりと着用できます。

背面のクロス部分は、紐同士を通して固定するループがついています。工作作業や機器メンテナンスなど、様々なポーズでの作業が必要な場面が多い工房スタッフですが、肩から肩紐がずり落ちにくくなることで、集中して作業に取り組めます。


背面バックル
背面は、バックルを留めるだけで着用できるようになりました。これまでは、太いストラップのリボン結びに手こずるスタッフも珍しくありませんでしたが、これで着用の時間も短縮され、いつでも美しい着こなしの後ろ姿になりました。


足元のスリット加工
このスリットを入れたことで、足さばきが格段に向上しました。しゃがんでの作業や、足元での工作加工でも、可動域を邪魔せずに足回りを守れます。

さらにデジファブでカスタムする

各工房や個人のオリジナリティを出しやすいのも、デジファブ施設の特長のひとつ。アイテムを取りつけて自由にカスタムすることができます。このために、エプロンの色やデザイン、特に胸元付近はあえてシンプルなデザインにしました。

アイテムアイデア
・社名や施設名のワッペン
・オリジナル名札
・機器ごとに異なる手法で作成したグッズ
・過去のワークショップアイテム
・制作物のサンプル
・どんな機器が得意か伝えるスキルバッジ
カスタムアイテムの良いところは、工房を訪れた方へ、身ひとつですぐに施設や機器の機能を紹介できることです。何より「この施設では楽しいものづくりができる!」という雰囲気を第一印象で伝えることができます。

ユニフォームは奥が深い

今回、ユニフォームづくりに取り組んでみて、
「どんなエプロンがいいか?」
そこから一歩踏み込んで、
「どんなユニフォームが、その仕事にふさわしいのか」を考える良い機会になりました。
世の中のユニフォームを見てみると、
・業種のイメージ
・動きやすさ
・必要な機能
・商品やサービスの価格帯
さまざまな要素を掛け合わせて、1つの形に落とし込まれていることに気づきます。
今回つくったデジファブ施設専用エプロンも、使い込んでいくに従ってさらに気がつくことや、使う人によって他にも欲しい機能があるかもしれません。
だからこそ、プレーンで上質、そしてカスタムしやすいエプロンとしてのアップデートを目指しました。

まだまだ出来立てのエプロン。今は濃いネイビーのデニム生地ですが、何度も汚しては洗ったり、いつもポケットに入れている道具の形などで、きっとそれぞれに異なる場所が薄れたり、馴染んだりしていくことでしょう。それも魅力のひとつ。使い込むほど、その人らしい一着に育っていくのが楽しみです。
このエプロンが、デジファブ施設で働くスタッフの士気や創作意欲を少しでも高めてくれたら嬉しいです。

今回ご紹介したデジファブエプロンは、販売も可能です。
「購入したい」「施設で使用したい」など、ご希望やご相談があればお気軽にお問い合わせください。
(発注に際し最低ロットがありますので、まずはご連絡ください)
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