工場見学|Infinity 3DP

工場見学|Infinity 3DP

こんにちは、デジタルファブリケーション協会の井上です。

台湾渡航記の番外編として、滞在中に工場見学させていただいた「Infinity 3DP」についてレポートします。まだ日本国内では販売されていないため、知る人ぞ知るメーカーですが、実は台湾国内では名だたるメーカーを一気に追い抜いてシェア1位に躍り出た急成長企業です。彼らの3Dプリンターの一体どこが素晴らしいのか、ユーザー目線で見ていきたいと思います。

ガレージ感のある社屋の1階が組み立て工場、2階がショールーム+オフィスとなっており、まずは2階へ。入ってすぐに様々な3Dプリントサンプルが出迎えてくれます。当然、すべて自社のプリンターで出力されたサンプルです。いくつか気になったサンプルをご紹介します。


現行のフラグシップ機で出したというサンプルからは、ほとんど積層痕が見えません。出力後の後処理などは一切行っていないとのこと。


多少荒さの目立つ、どこかで見たようなサンプルモデル。このモデルが熱溶解積層で出力されていることが驚きです。


こちらも後処理はありません。これまで熱溶解積層で出力するうちは全体形状にしか意識が向いていませんでしたが、ここまでできるとなると表面のテクスチャ表現にも可能性が見出せるようになります


自社開発しているソフトフィラメントでの出力サンプル。熱溶解積層で綺麗に出力するのが難しいとされる柔らかい素材もこの通り。


出力の美しさもさることながら、ある程度の実用にも耐える強度をもっているのがこのフィラメントの強みとのこと。同じフィラメントでも他社製のプリンターではここまで綺麗に・強靭に出力するのは難しいそうです。本来であれば難しいネジ形状も綺麗に出力できるので、熱溶解積層でありながら防水機能をもつパーツをダイレクトに試作することができます。


一部の金属パーツを除いて、ほぼ3Dプリントパーツで組み立てられた大型のヘリコプターモデルです。可動部分も多く、いろいろな仕掛けがあります。

様々なサンプルを手にひとしきり興奮した後は1階の工場へ。
一番奥が電子回路系の組み立てエリアになっており、当日は2名のスタッフが作業を行っていました。その手前にはハードウェアの組み立てエリアがあります。

組み立てエリアのさらに手前は検査・検品エリアです。下の写真は最終チェック時に出力する2種類のテスト用モデルで、円筒形のモデルでZ軸方向の精度を、”口”の字型の薄いモデルはXY軸の精度を確かめます。これらが綺麗に出力できるまで出荷されない体制になっているとのことです。

再び2階のオフィスに移動し、最新機種のX1 Speedを前にさらに詳しく伺います。

機種にもよりますが、同社の3Dプリンターの販売価格は日本円でおよそ15万〜30万程度。より安価な3Dプリンターが数多く出回っている中で比較すれば高価なラインですが、彼らは「プリンター」ではなく「工作機器」を作っているという当初からのコンセプトを大事にしています。剛性の高い金属筐体に加え、すべての軸に高精度なリニアレール(ちなみに日本製とのこと)を実装しています。駆動の要とも言える台形ネジは1本1本入念に検査され、その結果に合わせて搭載される機種に振り分けられます(写真下)。

メンテナンスの要となるキャリブレーションは、内部に光センサーを内蔵したスイッチから行います。ダイヤルゲージの先端を連想させる作りで、こういった作りに”工作機械感”を感じます。

個人的にグッときたのは、フィラメント交換の方法です。自分が知る限りフィラメント交換はノズルを温めないとできない作業でしたが、X1 Speedにはノズルの前段に専用の機構がついており、ノズル温度はおろか電源が入っていなくてもフィラメント交換ができます。普段から3Dプリンターを使っている人ならわかるかと思いますが、交換したいフィラメントを片手にノズルが温まるまで機体の前で待ち続けるのは意外とイライラが募ります。作業の前後を問わず、好きなタイミングでフィラメント交換ができるのは素晴らしい機能です。またフィラメントの差し込み口にも工夫がなされており、多少折れ曲がったフィラメントや先が綺麗にカットされていないフィラメントでも問題なく補給できるとのことです。

そんなInfinity 3DPは、日本での販売を2019年1月からスタートさせる予定とのことです。Facebookの公開グループにも様々な作例やニュースが載っているので、是非見てみてください。

市場に数多くの3Dプリンターが出回るようになり、「自分が買うとしたらどれだろう?」という悩みはより複雑になりました。工作機械である以上、自分でメンテナンスするという意識は大事ですが、より根幹にかかるクオリティやメンテナンスのしやすさは、使い続けるなら価格以上に重要な要素です。今回実際に触れてみたInfinity 3DPの3Dプリンターは、その点で価格とクオリティのバランスがとても良い機種に思えました。1月からの日本での販売が楽しみです。

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